やる気スイッチは押せるの?
子育てをしていれば、誰しも一度は考えることではないでしょうか。
子どもの机の前に座らせてみたり、励ましたり、ときには叱ってみたり…… でも、思うように勉強してくれない。
そんな場面、誰にでもあるはずです。
そんなとき、よく耳にする言葉があります。
「やる気スイッチを押してあげましょう!」
でも本当に、親がそのスイッチを“押せる”のでしょうか?
スイッチは「押せるもの」じゃない
結論から言えば、子どもの“やる気スイッチ”は、親が外から押せるものではありません。
わが家でもたびたび実感しています。
どんなに声をかけても、どんなに工夫しても、やる気のないときはない。
それが正直なところです。
スイッチは、子どもの内側にあるもの。
そして、それが「いつ入るか」は誰にも予測できません。
でも、子どもが何かを経験し、何かに気づいたとき、 そのスイッチが突然入ることがあります。
スイッチが入った“あの瞬間”
たとえば、わが家の高校生の長男。
模試の結果があまりにも悪かったとき、大きなショックを受けました。
でもその日を境に、生活が一変。
朝5時半に起きて勉強し、夜も遅くまで机に向かうように。
誰かが押したわけではありません。
「このままじゃいけない」と本人が感じた、その感情こそがスイッチだったのです。
また、中学生の長女は、部活で仲良くなった友達が同じ塾に入り、成績トップであることを知ったときから、勉強への姿勢が変わりました。
「すごい」と思った気持ち、「自分も変わりたい」と感じた気持ちが、予習復習をするきっかけになり、成績も上昇中です。
スイッチが押されるのは、「経験」から
スイッチが入るきっかけは、必ずしも「ポジティブな経験」ではありません。
悔しさ、驚き、焦り、感動――さまざまな感情が子どもの中に生まれたとき、 自分の意志で「変わろう」と動き出すのです。
だからこそ、親が無理に押そうとするよりも、 「きっかけになるような経験」と出会う準備をしておくことのほうが大切なのかもしれません。
親は“押す”のではなく、“経験”を与える存在
私たち親ができるのは、「今はスイッチが入っていない」と認めたうえで、 それでも子どもを信じて待つこと。
でも、ただ待つだけでは足りないかもしれません。
子どもがスイッチを入れる“きっかけ”に出会えるよう、たくさんの経験をさせてあげること。
これが、親にできる大切な役割だと思うのです。
- テストで悔しい思いをすること
- すごい友達に出会って自分を省みること
- 成功も失敗も、丸ごと体験すること
そうした“経験の積み重ね”のなかにこそ、スイッチが入る瞬間が隠れているのだと思います。
つまり、子どもにはモノを与えるのではなく、「経験」を与える。
これこそが、子どもが自分の意志で成長するための、最高のサポートになるはずです。
スイッチは押せない。
でも、スイッチが入るための「経験の舞台」は、親が用意してあげられる。
そう考えたとき、私たちの役目が少しだけ見えてくるのではないでしょうか。
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